関節運動学による関節の位置とインプット
関節には大きく分けて2つの位置があり、外力により容易に動揺する「ゆるみ」の位置と外力に よっても動揺しない「しまり」の位置があります。
@ しまりの位置(close) しまりの位置は関節面相互の接触面積が広く、適合性が高い、周囲の靱帯、関節包が緊張して いるため外力を加えても動揺しない、しまりの位置は通常その関節の可動範囲の最終域付近で あることが多い。 この位置では関節は機能的に安定しているため肢位を保つのに筋力を必要としない。
A ゆるみの位置(loose) しまりの位置以外をゆるみの位置という。この位置では関節相互の接触面積は狭く、適合性は 低い、周囲の靱帯、関節包がゆるむため外力によって容易に動揺する。 ゆるみの位置で最も ゆるんだ位置を最大ゆるみの位置と呼びます。 ゆるみの位置では関節の適合性が低いため肢位を保持するのに筋力が必要となる。 これはAKA関節運動学的アプローチ博田法による説明です。
当院での肩関節の治療は、うつぶせ状態では必ず肩関節を内転位にします。そのためにベッドの 下には腕を置く台が必要になります。 この状態で患者さんの身体を触ると自然なコリを見つける ことができます。 胸椎もバストマットと肩関節内転位で自然な後湾ができ、不自然なコリでない 正常なコリが分かりやすくインプット1で探すことができます。
腰の治療は、うつぶせ状態では足首をベッドの外に出して足関節90度が良いです。足関節90度 背屈状態が、腰椎の自然なS字前湾ができ正常なコリが確認しやすくなります。
脊柱の動きは、多くの分節(椎骨)が重なり合いながら連結(椎間板や靱帯)して可動すると考える ことができます。 2つの椎骨間において、どのような動きが行われるか考察してみると 上の椎骨(B)が可動して 下の椎骨(A)が固定していると仮定します。
屈曲で B は前方に傾き、椎間板の前方が圧迫されるために、後方が膨張して髄核がわずかに後方 に移動する。 B の下関節面は A の上関節面上で滑動する。椎弓部が引き離されて連結している靱帯が伸展する。
伸展は屈曲と反対の動きとなります。 B は後方に傾き、椎間板の後方が圧迫されて前方が膨張 するために髄核が前方に移動する。 関節面は互いに圧迫し合い、椎弓部が接近する。後方の靱帯が緩み、前縦靱帯が伸張する。 自分が足関節90度背屈状態でインプットを受けてみると、違いが良く分かると思いますので大師堂で体験してみて下さい。
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